カリウム液肥を作ろう Ver1.5
1.カリウム液肥とは?

植物の生育に欠かせない三大栄養素がチッソ・リン・カリウムです。 水槽内では一般にチッソ・リンは餌や糞から供給されるため、 不足するカリウムを補うことを主目的とした栄養剤として各社からカリウム主体の液肥が販売されています。 また『園芸用のカリウム肥料』を流用してカリウム液肥を作成する方法を解説しているサイトもあるようですが、 園芸用肥料は不純物が多く含まれおり、また、カリウム成分に硫酸カリウムを使っている製品が殆どですのでアクアリウム用に使用するのは推奨できません。 そこでWPWでは不純物を殆ど含まない炭酸カリウムを使って安全に使用できるカリウム液肥を安価に自分で作る方法を紹介したいと思います。

2.炭酸カリウムの入手

炭酸カリウムは薬局で注文すれば取寄せてくれます。
マツモトキヨシのような大手ドラッグストアでは断られる可能性が高いので、街の薬局で調剤も扱っているようなところがお勧めです(白衣を着た店員さんがいるところなら大丈夫でしょう)。

一口に炭酸カリウムといっても、その用途別に純度(と値段)が異なります。 化学試験用の特級試薬は高価ですし、3級以下の工業用は純度が低いので避けたいところです。 また、こういった薬品を扱いなれていない店員さんに小難しいことを言うと断られてしまう可能性もあります。 値段と入手性のバランスを考えると『食品添加規格の(無水)炭酸カリウム』又は『1級試薬』と注文してください。 これで、純度99%以上の炭酸カリウムが入手できます。 価格は500g入りで1本1,400円〜1,600円程度です。

近頃は薬品の販売に非常に神経質になっている薬局が増え入手しにくいようです。
WPW Web Shopでは50g(500mlボトル1本分)に小分けした炭酸カリウムを販売しております。 近所で購入できない方、精密な計量が面倒な方は小分けパックをご利用ください。
≫炭酸カリウムの購入はこちら 〔WPW Web Shop〕


3.チオ硫酸ナトリウムの入手

チオ硫酸ナトリウムは塩素中和剤です。 換水時の塩素中和にコントラコロライン等を使用している場合は不要です (と言うより、毎日のカリウム添加時に不要な薬品まで添加することになります)。
チオ硫酸ナトリウムはアクアショップやホームセンターの熱帯魚コーナーへ行って『ハイポをください』と言えばどこでも入手できます。 使用量は少ないので30〜50g入りのもので十分、価格は100円程度です。

4.純水の入手

材料を溶かす水は水道水を沸騰させて冷ましたもので支障は無いため必須ではありません。
逆浸透膜装置(R/O)などをお持ちで簡単に入手できるなら用意してください。 基本的に水道水で問題ありませんが、長期間使用せずに保存したり消費量が非常に少ないと保管中に変質する可能性がありますので、 気になる方は薬局で精製水を購入してきてください。 精製水はどこの薬局でも置いているので入手に困ることはありません。 殆どの製品が500mlボトルですので1本あればピッタリの量です。価格は100円程度です。

5.作成手順

レシピは炭酸カリウム50g、チオ硫酸ナトリウム1g、水500mlです。 材料は正確に計量するに越したことはありませんがコンマ数グラムまで厳密に計測する必要もありません。 クッキング用スケールや目分量でも構いません。 目分量派の方は以下の画像を参考に挑戦してください。

※注意
炭酸カリウムは強アルカリ性ですので皮膚に付着すると肌を傷めます。 粉末は手肌や空気中の湿度を吸って溶け出しますので作業時には手肌に付着しないよう充分に注意してください。


ハイポを計量した写真です。画像くらいの粒が12個で1.3gです。 平均的な粒のものは1個0.1g程度でしたので、10粒で1gと考えて差し支えないと思います。

ホームセンター等で販売されている市販のポンプ容器に炭酸カリウムとハイポを入れてボトルの肩くらいまで水を入れて良く振ります(溶解熱でボトルが温かくなりますが正常な反応です)。真っ白に濁りますが完全に溶解すれば写真の通り透明になります。また、底にカタマリが残りますが、数分ごとにシェイクを繰り返せば完全に溶けます。

ポンプ容器を持っていなければ、良く洗浄した500mlペットボトルを代用して製作・保管、 100円ショップや無印良品で売っているプッシュ式ボトルに詰め替えて使用すれば良いと思います。

6.おわりに

この方法で作成すれば安価で安全に使えるカリウム液肥を作れます。 安価に作成できれば値段を気にしてケチケチする必要もなくなりますので 大型水槽や複数水槽をお持ちでしたら挑戦してみてはいかがでしょうか。